『相棒16』第3話 あらすじ&ネタバレ感想 銀婚式を前にした夫・妻それぞれの殺意に右京が挑む!

大手商社の貴城商事の専務・瀬川巧(川野太郎)夫妻に襲いかかる事件に、事件性を感じた警視庁特命係の片山右京(水谷 豊)。やがては巧の転落死に至る真相とは?

妻の車イスが坂道を滑り落ちて…

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特命係の冠城 亘(反町隆史)が、上司にあたる甲斐峯秋長官官房付(石坂浩二)の「ちょっと様子を見てきてくれ」という命に「安請け合いして」(右京談)、右京とともに向かった先は貴城商事専務・瀬川巧(川野太郎)宅でした。マンションの玄関先に灯油が撒かれたらしいとの事です。
瀬川宅に近づくと、そこにはパトカーが。なんでも、家の先の坂道を瀬川の妻・楓(菊池桃子)が電動車イスごと滑り落ちてきたというのでした。楓は坂の途中で車イスから放り出されて一命をとりとめます。もし、そのまま車イスに乗ったままだったら車イスと同じく通りがかったバンに衝突していたでしょう。

ちなみに楓は貴城商事の現社長の妹にあたり、巧は義弟で専務です。楓の父は結婚に猛反対していましたが、楓の趣味の乗馬中に起きた落馬事故が原因で車イスの生活を余儀なくされた楓を「一生をかけて面倒を見る」と巧が宣言して結婚に至ったのでした。その時、楓は21歳。以来、25年間経った今も仲睦まじくやっていて、銀婚式を迎えます。

訪問の原因となった灯油の件はあやふやなまま、右京たちは戻って行きました。ちなみに瀬川家に出入りしているのは、楓の介護士・牧野(玉置玲央)と家政婦のセツ(大方斐紗子)ですが、関連性はない様子でした。

すべての事象は事件の伏線だった!

冠城とともに夫妻の周辺を調べていくと、灯油の件とは別に不可解な事柄が浮かび上がってきました。
まずは銀婚式の招待状が、友人らにまだ届いていないらしいのです。「思っていたのと、イメージが違う」と、宅配便を受け取って一見したままにしています。デザイン事務所で右京が確認した所、見本と寸分違わない仕上がりであるにも関わらずに、です。

坂道を車イスで落ちて行った時も、途中で“電動モード”に切り替えれば回避できたはず。という事は、車イス自体に細工が施されていた事になります。その事件の数日後には、楓は弁護士事務所を訪ねて何やら相談をした様子でした。

推察すると、この招待状が届いた時から事件は始まっていました。実は宅配便を受け取る際にモニターには、巧に愛人である秘書が「妊娠した」と詰め寄るシーンが映っていたのです。最愛の夫は、自分を裏切り、事故死に見せかけて殺そうとしていたのです。

右京は慌てて山荘に向かいました。そこでは、山荘を売却するに当たり記念に巧と楓が二人で記念の動画を撮っているとの事。この時に事件は起きました。巧が足を滑らせて階段から転落、頭部を強打して死亡してしまったのです。信じていた夫に裏切られた、妻の殺人だったのでした。

楓の想いは夫に届かずに…

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この犯行は楓の手による犯行は、巧が趣味で使うフックを使ってテグスを張り巡らせて、毛皮のラグ(敷物)を引っ張って転倒させた結果です。

この際に空いたラグの穴を、愛煙家の巧のせいにして、事故死に見せかけようとした楓。ですが、心配で様子を見にきた牧野が手伝ったために、彼に嫌疑が掛けられてしまいました。牧野は、未成年の時に窃盗で保護観察になったという経緯があり「それを知っていながら、楓さんは雇い続けてくれた」と恩義を感じて手伝ったのであいた。
このままでは牧野が罪に問われてしまうため、楓は全てを自供します。「25年間の愛情を、法で裁いてほしくなかった」と。

右京が真実に気づいたのは、事件の第一発見者である隣人の「焦げ臭い匂いがした」という言葉がヒントでした。
招待状を送付しなかったのは銀婚式を挙げる必要がなくなったため。弁護士事務所は、離婚後を相談するためでした。灯油の件は嫉妬から秘書の仕業と判明します。25年前と先日の車イスの件は巧が死亡したために永久に謎のままです。

夫(巧)の殺意と妻(楓)の殺人、愛憎から起きた事件は長年使えたセツの号泣とともに幕を閉じたのでした。

太田 愛脚本は内容が濃すぎて、いつもの面々の出番が少なくて淋しかったです。