日本語の「便利」という言葉は、使われる状況によって意味が微妙に変わって来ます。役に立つのか、都合が良いのか、使いやすいのか…。「便利」という言葉の中にも、色々な意味がありますね。英語には状況に応じた「便利」の表現があります。どのような言葉があるのか見て行きましょう。
目次
【スラング英語の教科書】「便利」を意味する様々な状況に応じたフレーズ10選
「便利」と言えばこの言葉convenient
コンビニエンスストアの影響もあり、「便利」と言えばまずconvenientを思いつくかもしれません。convenientは場所や時間について使われることが多い表現です。
例:”His apartment is convenient to the station.”
訳:彼のアパートは駅から近くて便利だ。
convenientは「便利な」という意味の形容詞であり、”convenience store”でお馴染みのconvenienceは「便利」という意味の名詞です。convenienceを使った表現として”at one’s convenience”があります。これは「(one’sの)都合のいい時に」という時間の便利さを表します。
例:”Please call me back at your convenience.”
訳:都合のいい時に(電話を)かけ直してください。
役に立って便利なときはuseful
usefulは非常によく使われる表現であり、「役立ち便利である」という意味ですが、use「使用する」という単語に由来するため、主に人ではなく物などが役に立つときに使われます。
例:”iPhone is very useful. ”
訳:アイフォンはとても役に立つ。
usefulの反意語はuselessです。こちらも広く知られた表現ですね。
例:”This book is quite useless.”
訳:この本は全く役に立たない。
助かって便利なときはhelpful
helpfulもuseful同様、「便利」を表す言葉として大変よく使われます。こちらはhelp「助ける」の単語からの派生で、「助けとなり便利である」というニュアンスを持ちます。
例:”English is helpful for many purposes.”
訳:英語は多くのことに(役立ち)便利だ。
helpからの派生語ではありますが、helpfulの名詞形はhelpfulness「助けになること」です。名詞としてのhelpは「助け、援助」という意味です。違いをよく理解しておきましょう。
扱いやすくて便利なときはhandy
handyは「便利な」という意味の形容詞です。”a handy pen”「便利なペン」のように単体でも使いますが、動詞として使う場合は”come in handy”「役立つ、扱いやすい」という形にします。
例:”This website will come in handy.”
訳:このサイトは便利だ。
ハンディカメラやハンディクリーナーのように、カタカナの「ハンディ」には、一般的に「小さな」「コンパクトな」といった印象が何となくあるようです。ですが、handyは小型化した使いやすい物に対してだけではなく、”handy drawer”「使いやすい箪笥」のように幅広く「便利」を表す言葉として使われます。
分かりやすくて使いやすい便利さはuser-friendly
user-friendlyは使用者にとって「使いやすい」「理解しやすい」便利さを表します。
例:”This gadget is user-friendly.”
訳:この道具は使いやすい。
user-friendlyに対してuser-hostileという言葉があります。friendlyが「友好的な」という意味であるのに対し、hostileは「敵意のある」という意味の反意語です。user-hostileもuser-friendlyの反意語であり、意味は「不便な」「使いづらい」となります。
色々なことに便利なときはutility
スポーツでいろんなポジションをこなせる選手をutility playerといいますね。また、パソコン用語でutilityと言えば、様々な機能を提供しパソコンを便利に使えるようにするソフトウェアのことです。utilityは「様々な用途に役立つ便利さ」の意味で使われます。
例:”Swiss army knife is of great utility.”
訳:スイス・アーミーナイフはかなり有用だ。
of +名詞で形容詞となるので、”of utility” はusefulとほとんど同じ意味です。
同様のパターンとして、“of help”があります。helpfulとほぼ同義です。
メールなどで人に何か助言や情報提供をしてあげた後で、“I hope it would be of help.”と書くと、「お役に立てたら幸いです」というニュアンスとなり、便利な表現です。
目的に合って便利なときはfit
fitは「適した」「ふさわしい」という意味から、「目的に合って便利」という意味になります。
例:”This towel is fit for a baby.”
訳:このタオルは赤ちゃんにぴったり。
上記例文のfitは形容詞ですが、動詞のfitを使って”fit in”にすると「都合のいい時間」を表現することが出来ます。
例:”I can fit you in on Wednesday.”
訳:水曜日に会えるよ。
fitに関連してですが、fitnessには「適切性、適合性」という便利さを表す意味があります。
例:”He has a fitness to do the job by himself.”
訳:彼にはその仕事を単独でこなす適性がある。
fitnessといえは、スポーツ施設のことを「フィットネスクラブ」と言いますが、英語のfitnessにも「(運動による)体の健康」という意味があります。ただし、英語ではfitness clubとは呼ばず、fitness centerと呼びます。つまり「フィットネス」は和製英語でなく、れっきとした英語ですが、「フィットネスクラブ」は和製英語ということです。
簡単で便利なときはeasy
easyは「簡単な」という意味でよく知られている通り、「簡単で便利」を表すときに使います。
例:”This bag is easy to carry.”
訳:このバッグは持ち運びやすい。
「簡単に利用できて便利」「地理的に便利」というときは”easy access to~”という表現を使います。
例:”This cafe has easy access to the internet.”
訳:このカフェは簡単にインターネットを使える。
例:”This hotel has easy access to Tokyo Station.”
訳:このホテルは東京駅に行きやすい。
ちょうどいい便利さを簡単な言葉で表すgood for
good for は「役に立つ」「都合のいい」などの便利さを表すときに用いる表現です。
例:”This is good for learning English.”
訳:それは英語の勉強に役立つ。
「有効である」というニュアンスでの便利さを表す時にも使えます。
例:Vegetables are good for your health.
訳:野菜はあなたの健康に良い。
good for の語順をひっくり返してfor good にすると「永遠に」という全然違う意味の言葉になるので注意しましょう。
例:I will live in the US for good.
訳:私はアメリカに永住する。
ぴったり合って都合がいいときはsuit
suitは「ぴったり合う」という意味から「都合がいい」「ちょうどいい」便利さを表現します。
例:”The day will suit me.”
訳:その日はちょうど(都合が)いい。
「便利だ」というときのsuitは動詞ですが、「(衣服の)スーツ」「訴訟」などの意味を持つ名詞のsuitもあります。” suit coat”という言葉は、「名詞のsuit + coat」であり、「便利なコート」という意味ではなく、「スーツの上着」という意味になります。
おわりに
一口に「便利」と言っても、耳慣れない言葉からよく知っている言葉まで、バラエティに富んだ表現方法がありますね。日本語の「便利」という言葉は、いろんなニュアンスで使える、まさに「便利」な言葉です。
そのため、英語に訳すときはどんなニュアンスでの「便利さ」なのかを考えて、シチュエーションに応じた適切な英単語を当てはめる必要があります。「どう便利なのか」を表現するのは一見難しそうですが、是非使い分けてみてください。慣れるとどれも便利な表現ばかりです。
まとめ
【スラング英語の教科書】「便利」を意味する様々な状況に応じたフレーズ10選
・「便利」と言えばまずこの言葉convenient
・役に立って便利なときはuseful
・助かって便利なときはhelpful
・扱いやすくて便利なときはhandy
・分かりやすくて使いやすい便利さはuser-friendly
・色々なことに便利なときはutility
・目的に合って便利なときはfit
・簡単で便利なときはeasy
・ちょうどいい便利さを簡単な言葉で表すgood for
・ぴったり合って都合がいいときはsuit