ここ最近、百貨店や薬局などいたるところに中国人観光客を目にすることが多くなりました。それもそのはず現在、外国人観光客(中国・台湾・香港)は1000万人以上越しているのです。日本の今(2015年)の総人口が一億2000万人なので、約12人に1人が外国人観光客にあたります。これは日本だけではなく、現在1億人の中国人が世界中で爆買いをしています。
そんな中国人の爆買いの実態から見る「消費の傾向」とそれに対応したマーケティング手法を解き明かしていきます。
「歩く財布」中国人の爆買いから解き明かすマーケティング手法
中国の爆買いの実態
【世界中で爆買いしている中国人】
冷静に数字だけを見ると中国人は世界の経済を支えているといっても過言ではない。世界中のセレブが集う高級住宅街ビバリーヒルズのブランドショップにくるお客の6割は中国人。
2014年にアメリカを訪れた中国人観光客は224万人であり、1人当たりの消費額は60~84万円になります。韓国に訪韓した中国人観光客は613万人に及び、韓国の観光業の半分以上を中国人が支えています。
ドイツとロシアに訪れた中国人観光客は200万人、110万人。フランスでは1人あたりの買い物額は約38万円にもなります。台湾に訪れた中国人は393万人で、真珠や宝石が人気であり中国の高齢者が多いです。(2014年)
【夜の新宿ドラッグストアで爆買い】
夜の新宿ドラッグストアはすごい。
ツアー旅行で来ている中国観光客は夜にだいたいツアー内容が終了するので、自由行動になってから夜のドラッグストアにくりだします。
なぜドラッグストアなのか?
日本人からすると疑問に思うところであるが、中国人観光客は安心・安全は自分の目で本物を選びたいのです。
2014年に導入された化粧品の免税制度の影響もありますが、根本的に中国では信憑性のない商品がありふれており、いくら日本の商品だとしても中国で買う場合、本物かわからない。
また、中国大都市には日本商品が普及しているが、天津・ハルビン・青島・西安・重慶などいわゆる2級都市ではまだまだ日本商品は普及していません。そのため、海外旅行での爆買いをしている消費額の大きい割合はこの2級都市がとても増えています。
【日本で欧米ブランドを爆買い】
中国人がわざわざ海外で有名ブランド商品を爆買いするのは輸入税・日本ブランド商品のラインナップに関係します。
実は中国の主要都市には有名ブランド店がいくつも出店しています。
ただ、中国でブランド商品を買う場合、高い輸入税が課せられています。
また、日本には日本限定で作られている商品があり、最新のデザインなどがありラインナップが充実しています。
例えば、バーバリーです。日本のアパレル企業が欧米からラインセンスを受けて、日本人の身体にフィットした商品を開発しています。それがブルーレーベルのバーバリーです。中国人にも体型のサイズが合うため、非常に人気があります。
爆買いから見える中国人の消費心理
【中国人は広告を信じず、口コミに頼る】
中国人は日本人とはまったく違う国民性の民族です。
中国にいけばわかると思うが、あるゆる場面で広告のおしや割合が日本よりも多い。中国ではテレビのCMの時間が長すぎて、ドラマがCMなのではないかといわれているほどです。
ファッション雑誌においても、化粧品のカタログのように広告のみです。その他にオフィス内やマンション、柱、壁、いたるところに広告が埋め尽くされています。
このため、広告に対する信用性がかなり低く、しょせんは宣伝文句であろうと認識されているのです。
こうなると中国人が頼るのは口コミなのです。ツアーの場合は必ずグループの中に情報通の人がいるので、その人が買えばみんなが横並びで一斉に買います。そのため、ある商品は在庫が全て空になり、ある商品は全く売れないという現象が起こります。
【口コミの鍵はスマホである】
中国人は口コミにかなり依存する。そしてその口コミの多くはネットからによるものです。
現在、中国の都市で外資系も含め百貨店がとても減少しています。2104年末までに閉鎖した百貨店、大型スーパなどの店舗数は実に200以上です。
これはなぜだと思いますか?
それは、中国のネット通販の9割を占めているアリババの影響があります。
アリババの傘下には、ヤフオクのような「タオバオ」、楽天のような「天猫」があり、ネット通販市場規模55兆円で前年比48.7%増加しました。すでに日本、アメリカをこえて世界一の通販大国になりました。
【中国では今、安心・安全が求められている】
日本では当たり前の商品が中国では、危険な商品として平気で流通しています。
例えば2015年のネット上で毒入りのフェイスマスクが話題となりました。
また、海外ブランドの紙ナプキンには蛍光増白剤が含まれておりニュースで取り上げられました。みんなが知っているニュースとしてはおむつです。欧米ブランドであっても、原料や成分は中国で調達しているため、品質はよくないので、赤ちゃんのお尻があぶれるといったことが話題となりました。
そのため、中国ではこのような言葉があります。
「日本企業は一流の商品を国内のみでしか流通しない。二流の商品を欧米に輸出し、中国にもってくるのは三流商品だ」
このように中国では爆買いの背景には安全・安心に対する大きな不安があります。
中国人に爆買いさせる方法
【中国人の購買心理を知る】
中国人は渡航前や買い物前に購入リストを事前に作ってきています。そのため、日本企業が中国人観光客向けの雑誌やDM、小雑誌に広告をうとうとしても、ほとんど効果がありません。実際に中国人が買い物しているときをみればわかるが、ガイドブックをみながら買い物はしていません。
このように、中国人同士のコミュニティでの口コミですでに買うリストは決まっているのです。
この口コミとは中国人同士の評判もあるが、ネット(微信)による割合が多い。「微信」とはLINEとFacebookのいいとこ取りの機能があり、中国人は、「微信」で商品を投稿したり微信にある情報をもとに購入しています。
「微信」についての詳しい情報はこちら。
そのため、中国人観光客のマーケティングとして重要なのは、口コミをつくるタイミングになります。
【爆買い中国人をリピートさせる方法】
商品をリピートしてもらうためには、購入者とコミュニケーションをとり続けることが重要です。そのための接点としては、ネットがとても有効です。
その一例として、日本ではCMや電車広告で「詳しくは◯◯で検索」と誘導するいわゆる検索型な文化です。一方で中国では、でかでかとQRコードをのせ、そこから読み取らせるいわゆるスキャン型な文化なのです。
中国ではこのようなO2Oいわゆるオフライン・ツー・オンラインが日本よりも進んでいるのです。
このようなQRコードに関しても日本とは全く真逆です。ここに対して、中国人をターゲットとする場合はQRコードを意識してマーケティングしていく必要があります。
【ターゲットの選定を間違えない】
実は爆買いに大きな役割を果たしているのは日本に住む65万人の中国人なのです。
日本で買ったサプリメントなどの消耗品は一ヶ月もすると使い切っています。そうすると中国人はどうやって商品をリピートするでしょう?
正規輸出品を購入すると関税がかかり倍以上の金額になってしまいます。日本の通販サイトの場合では決済対応(アリペイなど)や中国語対応していないサイトが多く、これにも同様に関税がかかってしまいます。この結果、中国人は友人や知人に頼んで日本の商品を買っているのです。
このように、日本に住んでいる中国人には輸入代行者がいるので、何か商品をアプローチをする場合は生の声が行き届いている輸入代行者と情報交換することが近道でしょう。
まとめ
「歩く財布」中国人の爆買いから解き明かすマーケティング手法
・中国の爆買いの実態
-世界中で爆買いしている中国人
-ドラッグストアで爆買い
-日本で欧米ブランドを爆買い・爆買いから見える中国人の消費心理
-中国人は広告を信じず、口コミに頼る
-口コミの鍵はスマホである
-中国では今、安心・安全が求められている・中国人に爆買いさせる方法
-中国人の購買心理を知る
-爆買い中国人をリピートさせる方法
-ターゲットの選定を間違えないいかがでしたでしょうか?日本は他の国と比べるとまだ中国人観光客の対応が発展途上といわれています。そのような中で、中国人に受け入れられるためには、押しつけがましい日本流のやり方ではなく、中国人にあったやり方・対応の仕方がこれからの課題となっていくでしょう。