毎週水曜日になると、昼食にタコライスを買ってくる冠城。その味もさる事ながら、どうやら、キッチン・カーで売りに来る女性がお目当ての様子です。そのキッチン・カーの店主・芽衣が殺人事件の第1発見者に!犯人と覚しき二人組を目撃しているハズなのですが、記憶が曖昧なようで…。
厨房を借りていたスナックのマスターが刺殺された!
毎週水曜日に、警視庁横の隼通りにタコライスのキッチン・カーが、移動販売の店を出していいます。特命係の冠城 亘(反町隆史)は、そこで「プレーンの温玉乗せ」を買うのを常としていました。ただ、“冠城らしい”のはタコライスの味もさる事ながら、売りに来る娘・新崎芽衣(朝倉あき)に御執心で通っているのでした。
ところが、通い始めて2ヶ月も経つというのに「顔も覚えてもらってない」と、右京(水谷 豊)にこぼしているのでした。「いつもの」と注文してもあやふやな苦笑しか頂けずに、ショックを受けている様子です。
その芽衣は、仕込みをするのに以前バイトをしていたスナックの厨房を借りています。そこのマスター・大友勝治(酒井晴人)が借用のお願いに快諾してくれたからです。そのうえ、店を出すのに立地的に向いている場所をアドバイスしてくれたり、何かと親身になってくれていたのでした。
その日も仕込みにマスターのスナックへ寄った折に、見知らぬ男の二人組が店から出て所を「モロ見」してしまいました。そして、店内に入るとマスターが血を流して死んでいたのです!!
犯人像だけ見えてこない“芽衣の証言”
芽衣のツイッターで出店地を確認して、冠城はまたしてもタコライスを買いに行こうとしていました。すると、サイバーセキュリティ対策本部の青木(浅利陽介)が現れて、「今日はタコライスを食べられませんよ。今、伊丹さん達に事情を聞かれていますから」と教えてくれました。
芽衣は犯人らしき男性二人組を見たと言っていましたが、特徴となると“あやふや”です。“ブーツを履いていた男とコートを着た男”“香辛料の匂いがした男とカチャカチャと音を立てて歩く男”くらいしか分からないのでした。
「第1発見者は狙われ易いので、気をつけてください」という捜1の伊丹(川原和久)の言葉に送られて、部屋をあとにしたのでした。
聴取を終えて、会議室から出てきた芽衣に「大変だったね」と声をかける冠城でしたが、「?」とまだ顔が分からない様子です。その時に右京を紹介したのですが、庁舎のすぐ外で声をかけても彼女は思い出せませんでした。
ちょっと前に会ったばかりなのに、名前を忘れていた事を不審に思った右京はひとつの実験を試みます。「大友の店では仕込みができなくなった」と困っていた芽衣に「花の里」を紹介します。この時に、女将の幸子(鈴木杏樹)に中座してもらい、和服に着替えてから店に戻ってもらったのですが「女将さんが、もう少ししたら出てきますのでお待ちください」と、当の女将・幸子に言ったのです。
この行為で右京は芽衣が「相貌失認」である、と確信したのでした。
大胆に接触してきた犯人
芽衣がかかっていると思われる「相貌失認」とは、大まかに言うと顔・表情が識別できない症状の事です。これでタコライスを買っていた冠城の顔が分からなかった謎が解けました。犯人らしき二人組の顔の特徴も話せなかったのは、そのためだったのです。
犯人もマスターから、この事は聞いていたので“面は割れていない”と、たかをくくっていたのでした。だからこそ、刑事になりすまして「大友から預かっていたモノはないですか?帳簿みたいなモノとか」と、直接芽衣に会いに行く等の大胆な行動に出てきたのです。
犯人の狙いは、この“ブツ”だったのです。それを店に探しに行った時に、大友を刺したようです。
ここで組対5課の課長・角田(山西 淳)から、有力な情報が入ってきました。殺された大友は地面師集団の一味で、その「グループ」を以前は2課が追っていたと言うのです。
地面師というのは、“持ち主になりすまして、土地を騙し取る”のをメインとしています。大友はここで「図面師」の役割りを担っており、舞台に使えそうな土地の物色を担当していたのです。だから、芽衣が出店する際に的確な場所のアドバイスができたというわけです。
多分、その犯行に使ったデータをネタにして大友は、「恐喝の道具」にしていたんだろうと右京は推理しました。借金を抱えていた事も、判明しています。脅していたつもりが、逆に殺されてしまったのではないかとも考えていたのでした。
この頃、犯人達は周辺まで捜査の手が伸びてきていると感づいて、「相貌失認」であっても顔を見られた芽衣を始末する事に決めていました。
地面師グループの「内輪揉め」に巻き込まれた芽衣
芽衣は、かねてより出店を強く希望していたイベント「ハーバーサイトライブ」(於東京湾岸・晴海)に出る事になっていました。犯人が地面師で「襲われても、相手を認識できないから危ない」と冠城に告げられても、頑としてキャンセルはしないと言い張っています。
そのイベント当日、客で賑わう会場で爆発音が聞こえて、芽衣のクルマのすぐ横で火の手が上がりました。冠城は急いでキッチン・カーの消火器で事無きを得ましたが、その隙に芽衣を連れ出されてしまいます(その消火器の底にデータが貼り付けられていました)。
そうはさせじと倉庫街で追いついた冠城は芽衣を助け出します。しかし、その時に犯人のナイフが冠城の腹部に吸い寄せられるようにして…。意識が薄れていく冠城でしたが、犯人のひとりを右京が、さらに走り出して逃げて行った方は伊丹・芹沢(山中崇史)が、それぞれ逮捕しました。
犯人の二人組は、地面師集団のリーダー・中原と関連暴力団の島岡でした。大友殺しは、今までの犯行の証拠をネタに脅迫されて、そのデータと大友を“消す”ために実行したとの事でした。
事件は解決して、冠城も入院はしているものの快方へ向かっていました。そこに芽衣が見舞いに来て「これからは、どんな時でも何年経っても冠城さんの顔は忘れません」と言い残して帰っていきました。
シーズン14の頃と比べると、冠城のキャラが「エリートが鼻につくナンパ野郎」という立ち位置から「意外と熱くて、いいヤツかも」的に変わってきていますよね。それを確定づけたのが今話なのではないでしょうか。