少数精鋭というわけではなく、ただ単純に少人数で“弱小”な広告代理店が、寂れた港町に移転して来ました。理由は家賃が安いから!?
広告で繋がった総勢四名の会社に未来はあるのか?「腕」は光るモノを持っているようですが…。
移転初日から、やっかいな依頼が舞い込んで来た!
数々の広告賞を受賞した、元大手広告代理店のクリエイティブ・ディレクターの杉山利史(沢村一樹)が、現在勤めているのが「ユニバーサル広告社」です。
人の好い社長の石井研一郎(三宅裕司)とデザイナーの村崎六郎(要 潤)、事務の猪熊エリカ(片瀬那奈)と和気あいあいな様子。移転先が、寂れた港町のシャッター商店街の端に位置する廃業した床屋の2階というのも渋すぎる設定ですね。
杉山が昼食の買い出しに商店街をぶらついてみたものの、食堂どころか営業している店自体がまばらです。そんな中で目に付いたのが喫茶店「ジュルビアン」でした。ここは、店主の藤沢 宏(でんでん)と娘のさくら(和久井映見)の二人でやっている店で、雑貨屋の城田ひかる(やついいちろう)や閉店した本屋の跡取りで「カフェかもめ」を開店休業中で町内放送とミニFM(電波を飛ばしているかは現時点では不明)局を運営している一の瀬 始(入江甚儀)らが入り浸っている状況でした。寂れた町の怠惰な昼下がりといった感じです。
その店でピラフを四人前買い、杉山は社に戻ろうとしますが「様子を見たい」と言い出した(元)看板娘のさくらが付いてきたのでした。ひと通りの自己紹介が終わり、全員でピラフをパクつき始めた所に1本の電話がかかってきます。
応対したエリカは「難易度3くらい」と社長に代わる時に符丁をつげました。やりとりからすると、まぁまぁの難易度は本当にあるみたいです。「ウチにはパシフィック・アジアン賞を獲った杉山もいますから、任せてください」。
「鶴亀神社のポスターを全面刷新するそうです」。
社長のこの言葉に一同がどよめきます(といっても、ほか三名ですが)。この神社はユニバーサル広告社の顧客のひとつで、広報関係を取り仕切っている代理店からの連絡で、クライアントが代替わりしたので、新社長が何でも新しくしたがっているらしいとの事でした。
それも期限は、その日の22時です。焦り出すメンバー達に対して杉山は「とにかくピラフをしっかり食べて、それから」と、社長と二人の若手にも落ち着いたそぶりを見せて安心させていました。広告業界の修羅場をくぐり抜けてきただけの事はありますね。
そして、杉山はトータルコンセプト、村崎はデザイン案、エリカは資料集めと、各々の役割りをテキパキとこなし出しました。それを黙って見守るさくらの姿も印象的でしたね。
作品は間に合い、採用も決定
杉山がいくらヤリ手のADマンでも、急に飛び抜けていい案ができるはずはありません。1度、店に戻って差し入れのオニギリを持って帰ってきたさくらに杉山は「結婚していますか?」「結婚したいですか?」「式を挙げたいですか?」「どんな式にしたいですか?」と、セクハラまがいの質問を矢継ぎ早に向けました。
最初はいぶかしがっていた社員達も、杉山の質問の意図に気づき始めました。クライアントの意向が、“シニア世代の地味婚を誘うような感じ”“再婚・ナシ婚の人にも喜んでもらえる”だったのです。
その問いに、さくらも真面目に答えました。
「派手じゃなくても、可愛くて華やかなのがいい」と。
この言葉をベースに杉山が考えたコピーが「人生の花は、いつ咲いても美しい。私たちは、可愛く華やかな大人婚を応援します。」でした。村崎も、コピーに合った、いい感じのイラスト・デザインを仕上げました。
これにて、各人のキャラ紹介色の強い第1話は終了です。それにしても、岡田惠和氏はイイ脚本(ほん)書きますね。主演の沢村一樹はもとより、岡田氏のメガネにかなった、和久井映見をはじめ、三宅裕司、やついいちろう、の『ひよっこ』(脚本:岡田惠和)組の活躍にも期待が持てます。